この「まちめぐ!」はメールによる無料のミニコミ誌です。

街歩きメールマガジン「まちめぐ!」
(街めぐり人めぐり)

2015 新装刊 #001
神出鬼没の不定日配信
発行:チームまちめぐ!(吉村智樹 せろりあん)


m(_ _;)mこのメルマガも、ときどき……いや、かなり長く休んでしまいました。


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まえがき
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「ご近所にも秘境あり。ご町内にも四次元あり」を合言葉に、すべての散歩愛好家に捧げる街歩きメールマガジン「まちめぐ!」。
僕は取材と撮影・執筆を担当しております放送作家の吉村智樹です。
どうぞよろしくお願いします。

たいへん長らくお待たせしてしまい、申し訳ございません。
およそ3か月ぶりのご無沙汰です。
休んでいるさなかに50歳になってしまいました。

そして自分でも予期しなかったロングバケイションをいただいていた間にこのメルマガの方向性の変更をせざるをえなくなり、今号を新装刊の第1号とさせていただきます。

発行が停滞してしまった理由はただひとつ、ぎっくり腰です。
前号の第5号を発行してすぐ、なにか重いものを持った拍子におかしなスピンをしてしまったのでしょうか、腰をイワし、まったく動けなくなってしまいました。
(実はココだけの話、ロフトプラスワンウエストで開催された岩井志麻子さんプロデュースによる『怪談ナイト』に出演した数日後というタイミングでした。た、たたり……?)。

2週間ほど寝たきりで暮らし、なんとか杖さえあれば立ちあがれるようになったものの、腰痛がどうにも取れません。
また、なぜかわざわざ喘息にもかかり、咳をするたびに激痛で飛び起き、夜中に叫び声をあげ睡眠もままならないありさま。「YO2 魂の叫び」です。
救いは、本職であるテレビ番組の会議が夏休みでほぼすべて少憩という時期と重なってくれたこと。
この時期じゃなかったら失職の可能性もありましたね。

そうして9月にはずいぶんと楽になり、もういっくらでも歩けるし、取材にだって行けるのですが、長時間座ったままだと相変わらず電気ビリビリデジタルDBな痛みをおぼえます。
10月になってさらに快方に向かい、ぎっくり腰だったことを忘れる時間すらあります。
おそるおそるですが、リハビリを兼ねた旅行の計画も立てています。

とはいえ決して本調子とは言えません。
これまでぎっくり腰には何度もなっており、対処の仕方もわかっていたつもりだったのですが、トシには勝てないのか今回ばかりは低周波の罰ゲームのようなチリチリ痛がどうにも取れないまま。

そういうわけで長時間の坐業がまだ怖いため、この「まちめぐ!」は毎号、記事をひとつだけ配信する軽量なメールマガジンとして出直しさせていただくことにしました。

もともと記事と画像と連載の量が豊富で、いやがらせのようにヴォリューム感のあるメルマガを目指していたので、正反対であるこの考え方に行きつくまでに少なからず時間を要しました。
編集をお願いしているせろりあんさんを始め親しいクリエイターにも相談し、「一号あたりの記事を減らすかわりに発行回数を増やそう」と提案もいただき、その方向でやりなおすことにしました。

学生街のメガ盛り定食屋のようなメルマガをやりたいと思っていましたが、これからは、お皿の真ん中にちょこっとだけパスタが乗ってるおされバルみたいにこじゃれたメルマガになります(ならへんならへん)。
自分の生理がそこに合うようにつとめつつ、のそのそとやってゆければと考えております。
ファンが多い野良猫写真やイラストエッセイの連載などは今後はイレギュラーな形での登場を予定しておりますので、気長にお待ちいただけましたら幸いです。

リニューアル第1号となります今号は、栃木県の宇都宮市の訪問記をお届けします。

さすが餃子の街と呼ばれる宇都宮。
餃子の世帯当たりの年間購入額こそ静岡県の浜松市に抜かれたものの(ちなみに3位は意外にも京都市)、市内におよそ200軒もの専門店がひしめく餃子バトルグラウンド。
店ごとに特色があり、食べ較べは必須です。


街のいたるところにある「餃子アート」。


「餃子が400種類ある」という店へ行ったらメニューには「600種類」と書いてあり、ご主人に「600種類もあるなんてすごいですね」と言ったら「そのメニューは古いんです。いま730種類あります」とのこと。
餃子で曼荼羅を作ろうとしているかのような大事業。


その数およそ730種類! わざわざ「餃子」って書かなくてもいいような気が。


ヴァリエーション豊富すぎて何味なのかすらわからない。

住民が餃子でスタミナつけた甲斐があってか、商店街も大にぎわい。
いま全国どこの駅前もシャッター通り化で荒野となっているのに、どこ吹く風、ここは元気がみなぎっていました。


遠目にも自動車関連とわかる建物。


オリオン通りの名物キャラクター。
赤ちゃん用品専門店カネヤ。そして2階はレストランカネヤ。


ピエロを全面に押し出し、さくらんぼ感がどこにも見当たらないゲーセン。


ハサミ2本でカットする珍奇な美容室。
しかも顔出し看板。
店名は「ん太郎」。
3度おいしい路上観察物件。


アッパー「カット」な謎の看板。



鹿を背負う巨大な木彫り像がお出迎えする居酒屋。
ジビエが名物なのか?


いいよなあ、こういう店。


前時代的な雰囲気だと思ったら、まさにそういう店名だった。


背後に人の視線を感じたので振り向いたら……。

宿泊はわずか2300円というカプセルホテルは清潔で広々していて大MAN‐ZOKU。
帰りは地震による停電のため新幹線の車中に閉じ込められるというアクシデントもありましたが、宇都宮でのおいしい餃子と楽しい想い出を反すうしてなんとかしのぎました。
それだけに先日の大雨による洪水のニュースは気が気ではなかったです。

宇都宮、出会った方もあたたかい人ばかりで、本当、楽しかったですね。
「包まれている」感覚になるんですよね。
餃子にかけているわけではありませんが。
ではさっそくまいりましょう。


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Meat Meets Guitar
なぜかお肉とギターを一緒に売るお店
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いまから皆さんをマジカルでミステリーなスポットへご案内します。

なな、なんだ、ここ、これは!

JR「宝積寺(ほうしゃくじ)」駅の改札口を出て、僕は一瞬ひるんだ。


JR宝積寺駅


改札を出ると、謎の木枠が天井を覆っている。

栃木県の県庁所在地・宇都宮から数えてわずかふたつ目のこの駅は、見あげると、ひし形に組んだ木の合板がうねるように天井を覆い尽くしていた。

こわいほどの孔(あな)の多さは、駅というより、まるでコンサートホール。券売機の前に立っているだけで得体のしれない高揚感と不安感が胸の奥からせりあがってくる。ここで切符を買うと、あっちの世界の謎の音楽祭へ連れていかれるような……。


謎の木枠は巨大生物のように、外へと出る階段をも覆い尽くす。


駅を出ると、今度は謎のストーンヘンジめいた石群が。

訊けばこの駅舎は2008年度にリノベーションを施し、鉄道意匠の国際デザインコンペティション「ブルネル賞」建築部門の奨励賞を受賞したというすぐれもの。

それまでは屋根には青い瓦が敷かれ、田舎のふるびた駅舎然としたたたずまいだったそう。それはそれで郷愁があって僕の大好物だが、駅前にあった老朽化した米蔵を建て替えるに伴い、駅の敷地を全面リフレッシュ。米蔵はバンド演奏の練習にも使える多目的ホール「ちょっ蔵広場」となって蘇った。参加費ひとりわずか1000円という激安ライブ「Rock to the Future」もマンスリーで開催されているというから驚き。月に一度のこの日は地元で採れた野菜やお米の産直市も開かれ、大いに盛りあがるという。地元のバンドやろうぜ少年少女たち&かつてそうであったオトナ女子男子たちには、これ以上フィール・ソー・グッドなニュースはなかったに違いない。

そして、いかにも防音効果ありげなあの駅舎の木枠のうねりは、ライブができるこの広場の世界観を地続きで表現したものだった。僕が駅を降りた瞬間に音楽を感じたのは、決して勘違いではなかった。ロックシーンは意外な場所にあった。この駅こそまさにパワーステーションと呼んで大げさではない。

そうして駅前どころか駅ナカからすでにロックなショックを受けたが、駅から少し離れると、そこはもう愛すべきのどかな郊外の景色が広がっていた。住宅が並び、常連さんしか行かないスナックがあり、生活雑貨や文房具も扱ってよろず屋と化したパン屋さんがあり。観光地では味わえない、静かに時を刻む、地元の人々の営みが映しだされたフツーの風景が横たわっている。


のどかな街の県道沿いにぽつんとある一軒のお肉屋さん。

そして僕が目指したのが、駅前を横切る県道101号線沿いにぽつんと建つ、一軒のお肉屋さん「ミートショップこしみず」。
ここは「コロッケやメンチカツが大きいうえに激しくうまい!」とフライマニアたちからアツアツの熱視線を送られている人気店。お肉屋さんが店頭で揚げている自家製コロッケって、ンまいんですよね。じゃがいもほこほこ、衣がさくさく香ばしくて。そしてお肉がちゃんと入っているのが嬉しい。

しかし僕がここを訪れたのは名物のコロッケだけが目的ではない。実はこのお店、よそではお目にかかれないスペシャルコラボが展開されている珍スポットなのだ。

遠目にはどこにでもありそうなお肉屋さん。だが、よく見ると看板がもういきなり異文化交流。お肉や手製のオードブルと、なぜかギターが、なぜか併記されている、なぜか。


「手づくり お惣菜」。おいしそう。


……で、なんでそこで「ギター」を買い取る? お肉屋さんですよね?


メンチ、コロッケ、ハンバーグ、そして、おすすめ品の「古いギター」……。
値段は298(にくや)円〜。


店内は噂にたがわず、こんがり揚がった大きな手作りコロッケ、その名も「おばちゃんコロッケ」が並んでいる。うわー、いい香り。うまそう! それにひとつで充分、丼ごはん二杯はいけそうなサイズとボリュームなのもありがたい。財布にもやさしいおばちゃんなのだ。


どう見ても、品ぞろえ豊富な、普通のお肉屋さん。


お話好きなお母さん。
関西から来たと告げると「私も昔、あべのに住んでたの」と意外な答えが。
ぐっと距離が縮まる。


メンチカツもコロッケもビッグサイズ! そして激的にうまい。

ここは街のかたすみにひっそり息づく、人情味の豊かなお店。ガラスケースにはスライスされた上質な精肉が、こしみずいい肉が整列している。そして焼肉のたれなど調味料やレトルトカレーなどお肉ゆかりの品がぎっしり陳列。ここまではごくごく当たり前な、よく知るお肉屋さんのデフォルト。

しかしここからがアヴァンギャルド。お肉屋さんなのに、どういうわけだかギターの弦やレコード、CD、そしていよいよ本格的にギターがズラリ。フライもののおかずからフライングVへのグラデーション。そして天井にはビートルズのポスターが貼られている。こ、これはまさにリアル“ブッチャー・カヴァー”だ。


お肉のショーケースの隣は、あれ? 異なものが見える。


ハンバーグやカルビの隣に、CDとギターの弦が。


ここからは完全に楽器店の光景。


天井にはビートルズなどのポスターがびっしり。


ヘヴィメタルからフォークまでジャンル無差別。

「ギターはすべてユーズド(中古)です。買い取って修理をして販売しています。一部、委託もありますね。あとは中古レコード。ギターを見に来るお客さんは中学生から80歳代のお年寄りまで幅広いです。みんなコロッケをかじりながら観ていますよ。そんなときは店の雰囲気が駄菓子屋さんみたいになっちゃいますね」

前世はコロッケだったのかと思うほどあたたかく出迎えてくださった二代目店長・小清水邦治さん(62歳)は、やわらかな笑顔でそう答えてくれた。


小清水さんのお店はバラエティに富んだオードブルも名物。
確かにこれほど盛り合わせの幅が広いお店はほかにない。

コロッケをかじりながら、かあ。いいなあ、ほのぼのして……って、いやいや、やはりヘンでしょう! なぜお肉屋さんにギターが売られているのだろう。あるいはもしかして、ギターショップでお肉が売られているの?

ワイルドなギターサウンドは聴く者の感情を昂らせ、血沸き肉躍らせる。肉もギターもカッティングが命だ。いやしかしだからといって肉と音楽は意外とつながっていないもの。肉が曲名になっているのって、いまぱっと浮かぶのはスターリンの「肉」くらい。あとは、吾妻光良&スウィンギングバッパーズの「やっぱり肉を喰おう」、大西ユカリの「肉と肉と路線バス」、The ピーズの「肉のうた」、山口百恵の「謝肉祭」……てところか(ごめん、けっこうあったわ)。とにかく、肉とギターの共通点、一緒に売るメリットが見当たらないではないか。

「ギターを置きはじめたのは25年前。あれはちょうど*“イカ天”ブームの頃、僕もちょこっとギターを弾き始めたんです。そして宇都宮に中古楽器販売と音楽スタジオが一緒になった『ガリバー』って店があって、そこに通っていたんです。そうするうちに『肉屋にギターを置いてくんねえか?』と頼まれて、そっから古物商の免許を取得しました。え? 肉屋にギターを置くことに抵抗なかったって? ……特になかったんですよねえ。なんでだろうなあ」

*イカ天……1989年2月〜 1990年12月にとはTBSで放送され、バンドブームを巻き起こした深夜番組『三宅裕司のいかすバンド天国』の略称。

「お肉屋さんにギターを置いてくれ」と頼む方も、「ああいいよ」と請け入れるほうものんき極まりないが、音楽とはかくあるべしという固定概念がガラガラ崩れるほどにアンダーグラウンドから多種多彩なバンドが飛び出したイカ天の時代の真っただ中にあっては、それもまたあるあるなことなのかも。

とはいえ初期は現在のようにお肉とギターがフィーチャリングしている状態ではなく、さすがに店を分ける仕切りはあったのだとか。

「取り扱っているギターがすべてユーズドでしたから、リペアできる専門職の人にもいてもらって、お店を分けていました。ところが職人さんが『バンドやりたい』って言いだして辞めちゃいましてね。仕方なく僕がコロッケを揚げながらギターの修理をするようになりました。とはいえ店の仕切りがあると、どっちの様子もわかんない。お客さんが来てくれてもすぐ対応できない。それで思い切って、壁をぶち抜いちゃったんですよ(笑)。だから、つながっちゃいました。家族の反対ですか? 母はあきれ返っていましたね」

異業種間にあった壁を取り払ってから、レジというステージからお肉とギターのすべてが見渡せる、不思議な、そしてとても自由なウッドストック状態に。これにはじめは抵抗感を示したお母さんだったが、客層が広がったことでお客さんとのふれあいが楽しくなり、いまでは世にも奇妙なこの業態を認めてくれているようだ。


お肉屋さんを営みながらすぐ修理に対応できるよう、リペア器具も店頭に。

「それに店をこういう形にして、よかったこともたくさんあるんです。噂を聞きつけ、プロのアーティストがふらりと立ち寄ってくれます。斉藤哲夫さんがレコードにサインをくださったり、三上寛さん、生田敬太郎さん、シバさんなどもお越しくださいました。僕らはURCやエレックレコードを聴いてきた世代ですから、夢のようですよ。若い方ではビート・クルセイダースが、あと俳優の西岡徳馬さんもお見えになりました。うちなんて普通の肉屋ですから、もう信じられないですよね」

ビッグなアーティストたちも売れない時代はコロッケひとつでご飯を何杯もかきこみ、空きっ腹を慰めていたかもしれない。ギターとコロッケがひとつ屋根の下で隣り合うこの奇跡の空間だからこそ、音楽に生きた人たちには特別な感慨もあるのだろう。



中古レコードにもかなりのスペースを割き、名盤レア盤がたっぷり。


「悩み多きものよ」「されど私の人生」「今のキミはピカピカに光って」などのヒットで知られる斉藤哲夫さんが自分のレコードにサインを残してくれた。


腸も蝶も扱う。


仕切りがないため、お肉の味付けスペースとギター工房がリミックス状態に。


ゴールド・ワックスのバックナンバーが充実しているお肉屋さんはきっと日本でここだけ。



アコースティックギターの奏者はアコーステックギターへ。
エレキギターの奏者はエレキギターへサイン。
ちゃんと棲み分けされてる。

そんな小清水さんご自身は、どんな音楽をめぐってこられたのかしら。

「僕はトラッド系やアイリッシュ系が好きだったですね。フェアポート・コンヴェンションとかペンタングルとか。なにがきっかけかですか? 実はね、ニールヤングの『孤独の旅路』ってレコードを買おうと思っていたんですよ。ところが間違えてフェアポート・コンヴェンションの『孤独への旅』を買ってしまって(笑)。それからです。あとはピンク・フロイドですね。初来日のコンサートはいまでも憶えています。『ピンク・フロイドの道』っていうアルバムからさかのぼって、ずいぶんいろんな音楽に辿り着きました。プログレが好きなのもピンク・フロイドの影響が大きいです」

まるで星空のドライブをしながら小清水さんの心の絵の具箱を開けているような、楽しい楽しい追想のひと時。嗚呼いつまでもお聞きしていたい。でも、ここはお肉屋さんの店頭。これ以上、長居をしては、お商売の邪魔になってしまう。そろそろ、おいとましなければ。

そうして店を出ようとすると、小清水さんが「よかったら、もうひと部屋、見ていきませんか。まだ公開をしていないギターがあるんです」と言って、店の外にある小さな倉庫へと案内してくれた。

ドアを開けると、そこには、またまたギターが。そして楽器が弾けない門外漢の僕ですら、この部屋にはギター好きを笑顔にしてしまうなにかがはらんでいる空気を感じる。

「ここは、まだ部品が揃わなくて、修理して商品化できないギターの一時保管所なんです。“ビザール”と呼ばれる、ちょっと変わったデザインのギターが幾つかあります。僕が好きなのもあって『テスコ』のものが多いですね。テスコの部屋って呼んでるんです(笑)」

お店の外にある、お宝が眠る部屋。


ビザールギターブームで再評価された国産ブランド「テスコ」のギターが散見。
小清水さん曰く、ここは「テスコの部屋」。


チューニングがばっちりあったダジャレも最後にいただき、さらに心ほどけた。
ビザールといえば、これほどビザールな店はほかにない。
ボーイ・ミーツ・ガール。
ミート・ミーツ・ギター。
意外な場所で鳴る音楽を求めて、またどこか旅に出たくなる。

 

ミートショップこしみず
栃木県塩谷郡高根沢町宝積寺2374
028-675-0247
営業時間 9:00〜20:00
定休日 木
http://plaza.harmonix.ne.jp/~kosimizu/

亡くなったお父様がコロッケ作りの匠だったとのことで「コロッケ型の墓石を作ったんです。でもちょっとイメージが違ったので、店頭に置いてます」とのこと。
これ、元は墓石だったのか!
牛がたまごから生まれる不条理イラストもあり、なんとなく気分は原子心母。


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編集後奇
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新装開店の街歩きメールマガジン「まちめぐ!」リニューアル第1号、いかがでしたか。

これまでは前後編に分けて配信し、ときには3分割することもあったので、アッという間。
ずいぶんダイエットしたなあという印象です。
書いてる本人は食べ放題のデブり放題で、それが腰痛の最大の原因でもあるのですが。

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現在の取材状況など速報でお伝えしております。
ときどき覗いてみてください。

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(URL短縮サービスを経たアドレスなので実際のアドレスとは違います)。

さて、リニューアル第1号は栃木県の宇都宮市からお届けいたしました。

僕の旅の楽しみは、名所旧跡景勝地に地元グルメ! ではまったくないんです。
特段どうということもない街にぽつんとある喫茶店へ入り、しみで汚れた備え付けのローカルタウン誌やご当地スポーツ新聞などのページをめくり、知らない街の知らない店の広告などを「知らないな〜」と思いながら目を通し、沸かしなおしのコーヒーをすすりながら人生の貴重な時間を浪費することにあります。

繁華街である宇都宮も、中心部から少しはずれると人通りは少なくなり、ぼんやりしたビジネス旅館街が現れます。
ぜったい温泉ではなく水道水を沸かしていそうな由緒ない旅館街って、いい味かもしだしてますよね。
そしてこの旅館街に一軒、素通りを許さない、プリティなネーミングの喫茶店が。

その名は「すみれ色」。


店名だけでなく書体や飾り罫も昭和ガーリー。

なんて乙女チックな店名。
なんせ、すみれって、すみれって、ブルーな恋人どうしが、キスしてキスして生まれた花なんですから。
もう入る以外の選択肢はありません。

それまでけだるくカウンターでテレビを観ていたママは、僕のふいの来店にちょっとびっくりした様子。
どうやらお客さんがひっきりなしにくるお店ではないんでしょうね。


テーブルはふたつのみ。お客さんがソファを共有する珍しい構造。

なかに入ると、そうとうにスモールサイズ。
そして構造がとても珍しいことに驚きました。
なんと壁に貼りついているソファを客全員が共有するタイプ。
言わば「元祖:相席屋」。
シートのチェック柄がかわいいです。


北欧風なチェック柄のソファカバー。クッションもイイ味。

ママさんに「造りがユニークですね」と言ったら、

「ユニークというか……前の持ち主の趣味らしくって。ソファが壁にくっつけてあるもんだから取り外せないんですよ。カバーの色がかわいいですって? そうかしら。なんだか古くさくて、取り換えたいんだけど、これも壁にくっついていて埋もれちゃってて。どうしようかと悩んでるんですよ」

すでにあった店舗を居抜きで借りたという、すみれ色。
ママさんはどうやらこの「横並びに座る構造」を気に入ってはいないらしい。
ところで、このお店はいつからやっているんだろう。

「30年、以上経ちますかねえ」


なんと!
ママさんは、このソファ問題を30年以上「どうしようか」とずっと悩んでいて、あと倒し、あと倒しで、今日を迎えてしまっていたのでした。

人生、それでいいんですよね。
この店に充溢するゆるぅぅぅい居心地のよさは、そんな30年間に及ぶ「ややこしいことはあと」の姿勢あったからこその「無が熟成されたもの」。
みんな急ぎすぎです。
メールの返事なんて30年後でいいんです。

それにしても、すみれ色って、かわいい名前ですね。

「あらそうですか? 特に意味はないんですよ。わたしがかわいくないから、お店の名前だけでもかわいくしないと」

いやいや、ママさんもかわいいですよ。

この質問に対するこの返答、たぶん、1000回以上は繰り返されているテンプレートなんだろう。
でもそれがまた熟成を感じさせてくれて、いい湯加減なんです。
人間この世に生まれてきたからには、ひとつかふたつ、鉄板のギャグを持っていたいものですもんね。


ママさんいい笑顔! ピンクの電話もたまりません。

すみれ色のママさん、コーヒーおいしかったです。
ごちそうさまでした。
こういうステキ喫茶と出会えるから、旅はやめられません。

はぁ、旅に出たい。
というか、もう一生、旅しかしたくない。
観光地などなにもない無名な駅で降り、さびれた駅前商店街を歩き、二度とくることはないであろう街のサ店に入って、なんとなく点いているテレビのローカル番組をぼんやり眺めながらとろけてダベッていたい。

次回はいったいどんな街を訪れるでしょう。
いつとは約束できませんが、できるだけ早くお届けしたいと思います。
お楽しみに。

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