この「まちめぐ!」はメールによる無料のミニコミ誌です。

街歩きメールマガジン「まちめぐ!」(街めぐり人めぐり)

2015 新装刊 #003 (通巻8号)
神出鬼没の不定日配信
発行:チームまちめぐ!(吉村智樹 せろりあん)


こんなに食べたら美魔女というより肥魔女になってしまいます。


★☆
☆★☆

まえがき
☆★☆──☆★☆

「ご近所にも秘境あり。ご町内にも四次元あり」を合言葉に、すべての散歩愛好家に捧げる街歩きメールマガジン「まちめぐ!」。

僕は取材と撮影・執筆を担当しております放送作家の吉村智樹です。
どうぞよろしくお願いします。

新装第3号目となる今号は、名古屋からお届します。

名古屋は僕がもっとも好きな街。
日本の好きな県ナンバーワンは奈良ですが、都市なら名古屋です。
将来の夢は、名古屋の放送局に構成の仕事でかかわること。
(将来と言ってももう50歳なんでどうやらかなわない方向に人生が進んでいるようですが)。

いろんな都道府県の、いろんな街を歩きますが、名古屋だけです、「くだっている」感じがしないのは。
どんな場所でも街歩きは楽しい。
けれども近年その味わい方は、シャッター通りや廃屋廃墟が並ぶストリートの「わびさび」(わびしさ&シャッターの錆)、そんな頽廃や斜陽の美を愛でるという方向に傾いてきています。
昭和レトロさがしも街歩きの楽しさの重要素ですが、それとて人通りが途絶えて放置されているからこそ起きる、哀しい奇跡。

そこへいくと名古屋は活況が見て取れ、肌に熱気を感じ、ばかばかしい場所、「エロ寿司」など猥雑な場所、さらに他都市にはない広大な地下街にエナジーが充溢。
「サードウエーブコーヒー」が2015年の流行語大賞にノミネートされ、日本はクールなカフェがブームなんだということになっているハズなのに、にもかかわらずスポーツ新聞完備の喫茶店「コメダ珈琲」の怒涛の全国進出を誰も止めることはできない。
そんな例、ほかの都市にないと思います。

少子化のためにあんなに賑やかだった駄菓子問屋街が衰退したり、晩婚化で屋根から嫁入り菓子を撒くような見た目に派手な習わしがなくなりつつあったり、名古屋の街にももちろん不景気や日本が抱える諸問題が反映されています。
されど、枯れそうな井戸に新たな水がくべられるような、サードウエーブなど目ではない次なる波がいくらも待機している、そんな胸の高鳴りをおぼえるのです。

それを表したひとつの店が天白区に古くからある、大盛りサイズが人気の洋食店「AIUEO」。
(名古屋はメガ盛り自慢の店がほんっと多いですよね。専門のガイドブックが何冊も出るほど)。
あいうえおというネーミングからもう狙っているんだかいないんだかわかりません。
そしてここは先述の「美魔女セット」もそうですが、歴史のある店なのに新しいメニューがどんどんできるし、どのネーミングもチューニングがおかしい。

たとえば、こちらの爆盛りメニュー。

メガ盛りすぎてスタッフが思わず言った「こんなに食べたら病気になっちゃう!」。
だからメニューの名前が「病気ライス」。
あの、命名者も病院で診てもらった方が……。

珍スポットの総本山「マウンテン」もそうですが、ウケを狙うというこざかしさなど、「もともとどうかしている」迫力には勝てないですよ。

ちなみにカレーも焼きそばもとてもおいしくて、一気に8割方むさぼり食ってしまいました。
ただ、白ごはんを残してしまったので、お持ち帰りにしていただきました。
お店の方もあたたかい人ばかりで、こころほどけるいいお店。
ちなみにちなみにこの病気ライスは「大盛りメニューのなかでは小盛りなほう」とのこと。
病気以上の量だと、もうお腹の「死亡」が気になります。


放送作家には通りすぎるのが不可能な名前の銭湯。
民営? 「市町立」だったりして。


閉店した銭湯の建物をそのまま使ったカフェ、その名も「ふろやのあと」。
そのまんま!


しかも「ふろやのあと」も”銭湯むなしく”空き物件に。
だから正しくは「ふろやのあとのあと」。

建物ごと海鮮ドーン! フィッシュがボーン!
回転寿司店のデコ―レーションの派手さ盛大さ船盛りさよ。
こういうパワフルでキャッチーな感覚が逆巻く看板建築が健在なのも名古屋の魅力。

そして壁面をよく見ると……。

ビルのすき間にも魚の造形が!
隣のビルの窓からしか見えないという贅沢さ(というかもったいなさ)が名古屋ゴージャス。
それにしても船まで屋上に乗っけてしまうとは。
「東海フィツカラルド」と呼びたくなる無謀アートです。

路上観察には「共喰い系」(豚が明日は我が身なのに『おいしいよ!』とか言ってるとんかつ屋など) というジャンルがあるのですが、こちらは自分で身内を焼かされるブラック(ユーモア)系。

これはもっとすごい。
具になってもからも共喰い系の遺言を(涙)。

さすが喫茶店帝国、名古屋。
いいあんばいなレトロゴですね〜。
そして名古屋の喫茶店の看板はパトランプがついているのが特徴。

名古屋の喫茶店は、四季を通じてパトランプが回転しております。
名古屋市は喫茶店が多いので、自店をアピールするために、昭和40年代から看板にパトランプを設置するのが流行しはじめたとのこと。
そのためか、パトランプの売り上げも名古屋が日本一。
看板のパトランプが回転しているからって、食い逃げ発生のサインではありません。


お子様向けのなんらかの商品を扱っているのだろうが、もしかしたら、単なる店主の身長かも。


まさか、塗るの?


のぼるの、気が重い……。


マネキンノイローゼ。

名古屋の街は、目に映るすべてのことがメッセージな気がして、目移りしてしまいまっすぐ歩けません。
街歩き好きにとって、名古屋はどんな遊園地よりも楽しい別天地。

そして今号の特集は、名古屋で2度にわたり開催されました、あるアーティストの個展の記録です。
名古屋メシに負けない濃厚なオブジェの数々に、きっと目が“釘づけ”になること請けあい。
読者プレゼントもございますので、震えて、いや、ふるってご応募くださいね。

では、さっそくまいりましょう。


★☆
☆★☆

Feel so BAT!
おそらく日本唯一の「釘バットアーティスト」
☆★☆──☆★☆


釘バットをかまえるこの男の正体は、いったい……。

今回は今年(2015年)2月と10月、ともに名古屋で開催された『釘バッ展 名古屋』『釘バッ展 名古屋2』の模様をお届けしたい。

『釘バッ展』とは「釘を打ちこんだバットの展覧会」のこと。
ちまたでは日々さまざまな美術展が催されているが、これほど凶暴性をおっぴろげに可視化したエキシビションはそうそうないだろう。

開催場所は、2月は大須。
場所は築古木造の美容室の屋根裏部屋にある、その名の通りおどろおどろしいムードが漂う怪奇雑貨画廊「化け猫屋敷」。


商店街のはずれの、さらに2階部分が会場。


ギャラリーがある「化け物屋敷」へはいったん美容室に入らねばならないというハードルの高さ。
屋敷内は壮観なる地獄ぶりで、ぜひ取材をさせてほしかったが、残念ながら撮影禁止。


10月は名古屋駅前の歓楽街。
妖気から打って変わってご陽気に、刺身や鍋など和食もいただける奇特なメイドカフェ「PaletteMaidcafe(パレットメイドカフェ)」。


ガレージ感の漂う呑み屋街に唐突なメイド服。


天然真鯛の刺身や鍋料理など割烹なみに和食が味わえるユニークなメイドカフェ。
メイドさんとのフォトは、ムール界の白ワイン蒸しと同じ値段。
「釘ラーメン」は、釘バットの作者自らが腕を振るう釘バッ展開催期間の限定商品。

両極端ではあるが、どちらも一瞬、足を踏み込むのに戸惑いをおぼえるという点では共通する。
近寄りがたいまでに変貌を遂げてしまったバットを展示するには、どちらも格好のバッターボックスだ。

陳列された「釘バット」の数々には、「う……」と固唾を飲んでたじろがずにはおれない。
釘バットはよく「Spiked bat」の名で海外の不良格闘ゲームのバトルアイテムとして登場するが、現物を見たことがある人はきっと少ないはず。


化け物屋敷の2階に展示された釘バットの数々。


作品には実際に触れることができた。

まのあたりにすると、静物であるはずのバットが、釘を打たれることで痛みとともに命を宿して獣性を帯び、どくどく怒張しながらもんどりうっている錯覚をおぼえる。
なんてバット、いやバッドテイストな。
「これで頭にジャストミートされたら、僕の脳みそは左中間を駆け抜けるな」と、とびきり危険な珍プレー荒プレーを想像してしまう。


メイドカフェの壁に釘バット。
緊張感がすぅぃつ(はぁと)な雰囲気を一変させる。


釘バットが「お帰りなさい。ご主人さま」と出迎えてくれる。


釘バットともにすごすティータイム。


こちらのメイドさんたちは、有事に備えたなんらかの訓練を受けている模様。

反面、これほど鬼気みなぎるオブジェでありながら、どこか懐かしく、とぼけたユーモアもまとっている。
夕焼け映える河川敷で学園の番長どうしが対峙し、10円ハゲの子分たちが手に手にかまえる、脅しの効果こそあっても実効性の薄そうな駄兵器。
そんな昭和学園マンガのワンカットのような、牧歌的な茶目っ気も魅力の一面だと思えた。
そういえば、ジャンルは違うけれど、ギャグ漫画『ダメおやじ』でオニババが夫のダメ助を殴る際に使う武器こそが、僕が初めて見た釘バットだった(夫を殴る武器、という設定もいま考えたらすごすぎるが)。
このように、ここに列する釘バットの数々は殺気とほのぼのの両面が見てとれるスイッチヒッターな芸術なのだ。

そしてなにより「バットに釘を打つから釘バット」という圧倒的な制約があるにも関わらず、すべての作品の表情が異なるという、作者の創意工夫の快打製造ぶりに驚かされる。
木製があれば金属バットもあり、ハロウィンカラーなど色あいもとりどり。
叩きこまれた釘のタイプも多種多彩で、15メートルにも及ぶ有刺鉄線を巻きつけたよりいっそうデラックスアウトなものまで。
釘とバットの組み合わせで、これほど飛距離の異なる表現ができるのかと感動しきり。


ハロゥインカラーがほどこされた逸品(間違っても渋谷の交差点では使用するべからず)。



しかもこの釘バッ展にひしめく造形作品は、観覧者がグリップ部分を実際に握って「体感」できる。
ずしんと手のひらに沈むヘヴィなタッチの釘バットは地獄の鬼の鉄棒を思わせ、そうかと思えば軽やかでシャープな作品を握ると聖剣を手に入れたかのような万能感が胸の内から湧いてくる。
見た目だけではなく、つかんだ際に芽生える感情が異なるのも、不思議にときめいた経験だった。

作者の名は「釘バットさん」さん(釘バット“さん”までがアーティストネーム)。



年齢は不詳だが、4月44日生まれという和風オーメンな生誕月日だけは公表されている。
そんな釘バットさんさん(以下、釘バットさん)はバットに釘を打ちこんでアート作品にするという行為を、いつ、なにがきっかけで始めたのだろう。

「作り始めたのは2004年です。きっかけは、むしゃくしゃしていたから。その当時、mixiの日記に『こんなにむしゃくしゃするんなら釘バットでも作ってやろうか(笑)』と書いたんです。僕が大好きなパンクバンド『QP‐CRAZY』のボーカリストであるザ・クレイジーSKBさんがヴィジュアルのシンボルにしていたのもあって、以前から釘バットには興味はあったんです。するとまわりからの『やれやれ』という反応がすごくて、じゃあ実際にやってみようと、バットを買いにホームセンターへ行くところから始めました。店員さんに『金属バットですか? 木製ですか? 軟式野球用ですか? 硬式ですか?』って訊かれたんで、『いや、どっちでもいいです。釘バットを作るんで』と。そのときの店員さんのけげんな表情は面白かったですね。そして6種類のサイズが異なる釘を打ちこみ、mixiに『釘バットができるまで』のセルフリポートを書いたら、これもまたドカンと反応があったんです。それから今日まで11年ですね。素材を手に入れる行きつけは『コーナンプロ』というホームセンターで、もう僕の庭です」

むしゃくしゃしていたからという初期衝動から開幕戦を迎え、マイミク(←懐かし!)からの声援に応えるためにアートの打席に立ち、以来11年にも渡り精魂込めて何十本ものバットに釘を打ちつけている釘バットさん。
釘一本にもこだわりを貫き、専門業者からわざわざ取り寄せることもあるのだとか。
11年間で一本たりともバットが割れたことがないというから、その品質と、ものづくりに向かう姿勢に背筋が伸びる。
作家であり、かつ職人としても、釘バット界の第一人者なのだ(と言っても、この人ひとりしか知らないのだけれど)。


6タイプの釘を打ちこんだデビュー作品。
パンクな初期衝動が伝わるピュアな形状。


あこがれのボーカリストであり、レーベル「殺害塩化ビニール」の社長、ザ・クレイジーSKBも釘バットさんの作品を手にした。


遂に殺害塩化ビニールとのコラボ作品が誕生。


手にしてみると、釘の形状へのこだわりや、打ちこむ配置の工夫がよりいっそう理解できる。

それにしても、こんなに硬いバットに、よく釘が刺さるなあ。
木製はまだわかるが、金属バットにいったいどうやって釘をパンチするのだろう。

「金属バットは、重さ900グラムある金づちで、力ずくで打ち込みます。火花が散りますよ」

火花が!
これら釘バットは、そんな凄絶な状況下で生まれていたのか。
もはや釘バット界の芥川賞作家だ(と言っても、この人ひとりしか知らないのだけれど)。


金づちで打ち金属バットを貫通させた、まさに「力量」が試される渾身の一作。


「取り扱い注意」の警告札に折れた釘と血糊。
「使用後」を演出したとりわけホラー色が強い名作。


そうかと思えば、こんな雅で愛らしい作品も。

そういった真摯な作品づくりが同じクリエイターの胸に共鳴し、他の作家とともに制作された貴重な釘バットもある。
それが、グリップ部分が鞭になっているというツーウエイシステム(?)な作品。

「鞭を手作りしているマッドスタースパイダーさんっていう作家さんがいるんですけど、これはその方とコラボした作品です。見た目こそ恐ろしいですけれど、実際はバットの部分も鞭の部分も使いにくいという(笑)」

ふたつの悪意が結びついた、「ハイドとハイド」と呼ぶべきこの凶悪な釘バットは、SMプレイにおいてはひと振りで二度おいしい便利なツールのようであるが、実用できないゆえにピュアなアート作品に結実していた(むろん、すべての釘バットがアート作品なので、すべてが実用不可だが)。


埼玉県の奥地に済む鞭作家マッドスタースパイダー氏とのコラボ作品。
劣悪な環境で進化を独特な遂げた深海魚のようだ。
うしろでバイクにまたがる女子たちもイイ味してる。


こうして作品を鑑賞していると、根本となるバットそのもののヴァリエーションも豊かで、球史ミュージアムのごとき楽しさがある。
このいいあんばいなバットたちは、いったいどこから入手するのだろう。

「新品と経年劣化したものの両方ですね。古いバットは風合を出すために雨晒しにしたり、敢えて傷つけるなどして、その味わいを活かします。たとえば、ニスを塗ってみたらいい感じにおどろおどろしくなったので、上からいわくありげなお札を貼ってみたり。もちろん本物を貼ると本格的にヤバいんで、デザインを変えて、それらしいお札を作って。中古のバットの入手先ですか? けっこうネットオークションに出るんですよ。それで、なんでもいいから10本セットを買い、そこからいいものをチョイスします。そうすることで珍しいバットにめぐりあえることもあるんですよ」

確かに、なかには少年用を超えて幼年用と呼びたくなるほどサイズの小さな珍バットも。
よく見るとグリップエンドには、おそらく以前の持ち主の苗字と思われるひらがな三文字が。

「これ、謎なんです。出品者の名前とは違うんですよね」


すぎの……誰?

出品者とは異なる名が書かれているというミステリアスなバット。
そこに至る背景には闇のフィールドオブドリームスがありそうで、想像するだけで胸騒ぎの放課後だ。
釘バットさんはこれを「すぎのモデル」と命名し、いつくしんでいる。
釘バットさんが造るオブジェには、迫力だけではなく、こころの陰の部分を見つめさせる、切ない郷愁があるのだ。

「実は釘バットは日本人が発明したという説があるんです。というのも戦時中にオーストラリアで捕虜になった日本人が作ったという記録が残されているんですよ。日本人の捕虜はおとなしいしふるまいがしっかりしているんで、野球も好きにやらせていたみたいなんです。バットはもちろん手作りです。そして脱走するときに護身と防衛用にバットに釘を打った。それが釘バットの最初だと言われています。オーストラリアの戦争博物館には元祖釘バットがあるらしいんです」

なんと、釘バットは我々の先祖が生みだしたものと言う説があるのか。
とげとげしさを凌駕するノスタルジーを感じるのは、そのためなのかも。

釘バットさんの作品は、これら現物だけではない。
明日をも知れぬ生きざまがにじみでた少女たち、女性たち、男たち被写体が釘バットを手に威圧するバイオレンスでエロティックな写真の数々もまた、すべてが衝撃だ。
未成熟の女子たちがいかつい釘バットで武装するさまは、誰しも人生に一瞬吹き荒れる明日なき暴走の季節を見事に活写している。

これら人物と釘バットのバッテリーは、どういうきっかけで生まれたのだろう。

「プロのモデルを使って撮ることはほとんどないですね。最初は友人や知り合いを撮るところから始まったのですが、現在は応募が多いです。東京の中野に『テクノブレイク』という店があって(フェティシズムの充溢した特殊なファッションや雑貨の販売店)、そこに釘バットを展示していたんです。すると、その店に来る女の子たちが釘バットを持って写真を撮るってのが流行っちゃって。しまいには僕が釘バット女子アワードの審査委員長にまでなったり。そうしてサブカル好きな女の子たちのあいだで知らないうちに勝手に僕がカリスマになっていって、『撮られたい』って娘が増えたんです。コスプレイヤーやメイドカフェの女の子だったり、ただの学生や普通のOLさんたちが噂を聞きつけて『私もやりたい』って」

なるほど、ここに写っている被写体の多くは、釘バットを握って写真を撮りたいと志願してきた人たちだった。
それにしても、どの顔も、絶望と恍惚が二律背反になった、いい笑みをたたえている。
釘バットを持つことで、ブドウの皮が破れて濡れた果肉がはじけるように、幕を張っていた感情がほとばしっている。
圧しこまれていたこころの飛沫をカメラが絶妙にとらえているのだ。

「男女関係なく釘バットを持つとニヤつくんですよね。持っちゃいけないようなものを持つ、なんとなくのうしろめたさ。『こんなヤバいものを持ってるぜ』というイイ感じのバランスで多くの人はニヤッとするんです」


あの(自称)超能力者も!

ニヤつくといえば、この釘バッ展は漫画ファンにとってもニヤケがとまらない目玉がある。
それが色紙。
『まいっちんぐマチコ先生』のえびはら武司さんなど、高名な漫画家たちが自身の作品の登場人物に釘バットを持たせているではないか。
大ベテランから若手まで、時代を超越して釘バットのもとに集い、アンソロジー化しているのが素晴らしい。


『まいっちんぐマチコ先生』のえびはら武司さんの直筆釘バットサイン。
えびはら先生は釘バットをことのほか釘バットを気に入り、以来多くのビジュアルを担当してくださることに。

いったいどこでどうやって漫画家さんたちと知り合い、このようなドリームマッチがなされたのだろう。

「僕は小器用だったので、ずっとパチンコ雑誌などでイラストや漫画を描いていたんです。それもあってFacebookを通じて漫画家の方々とつながりを持つようになりました。最初は僕が僕がお願いして描いていただいて、少しづつ増えてゆき、そして釘バット色紙の画像をアップするうちに『僕にも描かせてくれ』と言ってくださる方が現れるようになり、その噂が次第に漫画家さんたちの間で広まっていったんです」

僕が初めて釘バットを手にしたとき、まず思い浮かんだのが先述したように「漫画」だった。
門外漢の僕ですらそうなのだから、当事者の漫画家さんたちは、アートでありながらわかりにくさがみじんもない、さわやかで一点の曇りがないほどに邪悪な釘バットには「実写化」と言える強いシンパシーをおぼえたのだろう。


えびはら先生公認の、マチコ先生がハートを狙い撃ちにする釘バット。
これで殴られたら、まいっちんぐどころじゃ済まない。



「GTO」の藤沢とおる先生も参戦!


「包丁人味平」のビッグ錠先生、「名たんていカゲマン」の山根あおおに先生など、大御所も黙っちゃいない。

そして、どうしても避けられない質問をしなければならない。
これら釘バットが、なんらかの法律をおかしてはいないか、ということ。

「僕自身も気になって弁護士に相談したんですが、銃でも刀でもないし、あくまで造形作品であり、鑑賞以外の用途がないことが証明できれば問題ないと。個展などでの運搬の際も展示会場まで釘で何かが傷つくことがないよう厳重に梱包しています。ただ初期の頃は職務質問をされました。河川敷で釘を打ったり塗装をしていたら『なにしてるんだ』と巡回の警察官に声をかけられたことがあります。作品を作っているんだとちゃんと説明したら、笑って『まぁ、ここではなく、家でやりなさい』と言われました。それ以来、釘バット事務局と呼んでいるゆるいアジトのあるビルの屋上などで作っています」

実際、釘バットを手にしてみると、獰猛になるどころか、むしろ日ごろ抑圧していた荒らかな感情が消え去り、気持ちがおだやかになるのを感じる。
有名な漫画家たちの芯をとらえ、モデルを志願する女子があとを絶たず、11年にも渡って支持されている理由は、その安打の部分にもあるのではないだろうか。

「今年は釘バットをテーマとしたファッションショーも開かれました。悪ふざけから始まった釘バットですが、『飽きるまでやりたい放題やる』という気持ちでやってきたら、いつのまにかいろんな人たちを巻き込んで、コラボ企画が生まれたり、縁ができました。これからは全国の主要都市で個展を開きたいですね」

2016年は、あなたの街で、釘バットさんがフルスイングした作品に出会えるかも。
そして実際に手にしてみると、よりいっそうそのストレンジな魅力が伝わってくるのだと、釘をさしておこう。

KUGIBAT.NET http://kugibat.net/

一部画像・原稿:平吉ギョーコ

協力:怪奇雑貨画廊「化け猫屋敷」
    「PaletteMaidcafe」名駅店


★☆
☆★☆

編集後奇
読者プレゼント
☆★☆──☆★☆

ラーメンもうどんもそばも「きしめん」もあるけれどメインはあくまでコーヒー。
名古屋の喫茶店はさすが充実してるなあ。
店名やテント地の色から察するに、マスターが常連客とゴルフ談議に花を咲かせていそう。

新装開店の街歩きメールマガジン「まちめぐ!」リニューアル第3号、今回は名古屋からお届しました。
いかがでしたか。

この「まちめぐ!」は旧版も含め過去に配信したすべての記事を読むことができます。

▼「まちめぐ!」のバックナンバーは下記をクリック!
http://archive.mag2.com/0001644365/index.html
お休みの日などにゆっくり目を通してみてくださいね。

それからこの「まちめぐ!」にはFacebookページがあります。
現在の取材状況など速報でお伝えしております。
ときどき覗いてみてください。

▼「まちめぐ!」Facebookページ
https://www.facebook.com/machimegur/
皆さんがたくさん「いいね!」してくださったおかげで、やっと短縮URLを獲得することができました。
ありがとうございます!

そして!
今回は読者プレゼントが。
釘バットさんオリジナルバッヂとステッカーのセットを3名様にさしあげます。



『まいっちんぐマチコ先生』でおなじみのえびはら武司先生が釘バッ展のために描きおろしたバッヂは、まずよそでは入手できないっちんぐなレアアイテムです。

釘バットさんさんオリジナルバッヂとステッカーのセットをご希望の方は、ご自身のお名前と「釘バット希望」と明記の上、下記のメールフォームよりご応募ください。
http://tomokiy.com/postmail.html
選択は『その他 問い合わせ』で。

3種のうち、どれが当たるかはお任せください。
メルマガのご感想などお書き添えいただけると涙で枕を濡らします。

締切は2015年11月30日(月)いっぱい。

抽選ののち、当選された方にはメールにてお知らせをいたします。
ご当選の報を受けられた方は、こちらまで送付希望先をご返信ください。
記載のご住所あてにお贈りいたします。
落選の通知はしておりませんので、事前にお含みおきくださいませ。

そして、ご応募の際にお送りいただいた個人情報は、落選の方は抽選終了後に即、ご当選の方は発送が終わり次第、すべて破棄させていただきます。
抽選の用途以外には決して用いませんのでご安心くださいませ。

今回の名古屋取材は愛知の奥様路上観察家、平吉ギョーコさんに多大にお手伝いいただきました。
土地勘がない他所者にとって、それぞれの街のそれぞれの道に通じた達人たちに歩き方を教えていただけるのが本当にありがたい。
こうして全国のウオーカーに出会いたいです。


名古屋の大須商店街の手焼きせんべい菓子舗「朝日軒」謹製「まいっちんぐマチコせんべい」。
いまんところPTAからの抗議はなさそう。


釘バッ展取材中。
なんとかしろよ、そのブヨッてる首筋。


珍スポットと濃厚民族のエル・ドラド、名古屋。
これからも頻繁に訪ねます。
東海地方在住の読者の皆様にお世話になることも多々あるかと思います。
そのおりは、どうぞよろしくお願いいたします。


いつでも名古屋へ飛んでいきたくなる。
しかもなんとなく、JALで。


次回はいったいどんな街を訪れるでしょう。
いつとは約束できませんが、できるだけ早くお届けできるよう努めます。
配信日時は決まり次第、TwitterとFacebookにてお知らせいたしますね。
お楽しみに。

☆★☆──☆★☆ ☆★☆──☆★☆

メールマガジン「まちめぐ!」
発行 チームまちめぐ!(吉村智樹 せろりあん)
メールはこちらから→ http://tomokiy.com/postmail.html

Facebook: https://www.facebook.com/tomoki.yoshimura.9
Twitter: https://twitter.com/#!/tomokiy
instagram : https://instagram.com/tomokiyoshimura/

▼配信停止はこちら
http://www.mag2.com/m/0001644365.html

発行責任者:吉村智樹

※画像・記事の無断使用・転載は御遠慮下さい
Copyrights (C) 「まちめぐ!」(街めぐり人めぐり) All Rights Reserved.